
【2025年8月21日詳報】
愛知県警は21日、カンボジア北西部・ポイペトを拠点とした特殊詐欺事件で、日本人男女29人を詐欺未遂容疑で逮捕したと発表しました。
グループは今年2月から5月の間に少なくとも約14億円をだまし取った疑いがあり、海外を拠点とした特殊詐欺の規模としては過去最大級となる可能性があります。
◆ 事件の全容
逮捕者の詳細
逮捕されたのは19歳から52歳までの男女29人(男28人・女1人)。
年代別では20代が最も多く15人、次いで30代8人、10代3人、40代1人、50代2人となっています。
全員の住所や職業は不詳で、カンボジア当局に拘束された後、20日に中部国際空港へ移送され、機内で逮捕状が執行されました。
犯行の発端
事件が発覚したのは5月27日。
グループはカンボジアの拠点から東京都八王子市の男性(64)に警察官を装って接触し、「資金洗浄事件に関与している疑いがある。預貯金の流れを確認する必要がある」と虚偽の説明を行い、現金をだまし取ろうとしました。
しかし、この時にカンボジア警察による摘発が入り、詐欺は未遂に終わりました。
◆ 巧妙化する犯行手口
組織的な運営体制
愛知県警の調べによると、29人は渡航前に互いの面識はなく、現地で中国人グループの管理下に置かれていました。
かけ子」として詐欺電話をかける役割を担い、偽名で呼び合うなど組織的な管理が行われていたとみられます。
最新技術を駆使した詐欺
従来の電話による特殊詐欺とは異なり、このグループはSNSのビデオ通話機能を活用。
警察官や金融機関職員になりすまし、画面越しに身分証らしきものを見せるなど、より信憑性を高める手法を用いていました。
被害規模の実態
押収されたスマートフォンの解析により、今年2月から5月の間に少なくとも約14億円がだまし取られていたことが判明。
1日あたり約1億円以上という驚異的なペースで犯行が繰り返されていた計算になります。
◆ なぜカンボジアが拠点に選ばれたのか
地理的な優位性
ポイペトはタイとの国境都市で、人の出入りが頻繁な地域です。
また、通信インフラが整備されている一方で、法執行の目が届きにくく、詐欺グループにとって「都合の良い環境」が整っていました。
国際的な取り締まりの課題
東南アジア各国では、このような越境型の特殊詐欺が増加傾向にあります。
各国の法制度の違いや、捜査協力の複雑さが犯罪者に利用されているのが現状です。
◆ 深刻化する特殊詐欺の現状
被害者層の変化
従来の特殊詐欺は高齢者が主なターゲットでしたが、最近はSNSや電子決済を狙った手口により、若年層の被害も急増しています。
警察庁の統計では、30代以下の被害者が全体の約3割を占めるまでになっています。
手口の巧妙化
今回の事件では「資金洗浄捜査」を装った新たな手口が確認されました。
コロナ禍以降、給付金詐欺や投資詐欺なども含め、社会情勢を悪用した犯行が目立っています。
◆ 捜査の現状と今後の展開
現在の捜査状況
愛知県警は詐欺未遂容疑に加え、実際の詐欺事件への関与についても調べを進めています。
特に注目されているのは、29人を現地に送り込んだ国内の勧誘ルートや、だまし取った金の送金経路の解明です。
国際連携の重要性
今回の事件では、カンボジア当局との連携により大規模な摘発が実現しました。
しかし、類似の犯罪グループは他国にも存在するとみられ、より一層の国際協力が求められています。
今後の予防策
専門家は「海外拠点型の特殊詐欺は今後も増加する可能性が高い」と指摘。
水際対策の強化や、国民への啓発活動の重要性が改めて浮き彫りになっています。
◆ 私たちができる対策
基本的な心構え
- 警察や金融機関から電話やSNSで連絡があった場合、一度電話を切って公式番号に確認する
- 「今すぐ」「緊急」などの言葉で急かされても、冷静に対応する
- 家族や友人と情報を共有し、相談できる環境を作る
最新の手口への警戒
今回のようなビデオ通話を使った手口や、資金洗浄捜査を装った新たな詐欺にも注意が必要です。
どんなに相手が本物らしく見えても、お金に関する話が出た時点で疑うことが重要です。
まとめ
今回の事件は、特殊詐欺の国際化と巧妙化を象徴する事件といえます。
被害総額14億円という数字は氷山の一角に過ぎず、同様の犯罪グループが他にも存在する可能性は高いでしょう。
私たち一人ひとりが最新の手口を知り、適切な対策を取ることで、このような犯罪の被害を防ぐことができます。
また、国際的な捜査協力の進展により、越境型犯罪への対処能力向上も期待されます。
本記事は、NHK、FNNプライムオンライン、時事通信、産経ニュース、共同通信などの報道内容をもとに事実確認を行い、憶測や未確認情報を除外して作成しています。最新の進展については、各報道機関の公式発表をご確認ください。
