※本記事は確認可能な公開情報をもとに作成しており、事実と分析を明確に区別して記載しています。
石破茂首相の電撃辞任表明で幕を開けた自民党総裁選。
保守層の人々の注目点は「コバホーク」こと小林鷹之元経済安保相と高市早苗前経済安保相の動向です。
両氏が保守票を分け合って「共倒れ」するのか、それとも事前調整で一本化を図るのか——この判断が自民党の再生と、参政党などに流れた保守層の信頼回復を左右する可能性があります。
なぜ「コバホーク」が注目されるのか？
小林鷹之衆議院議員（50歳）への注目度が高まっているのは、単なる若さや経歴だけではありません。
「コバホーク」という親しみやすい愛称に込められているのは、姓名の小林と「鷹（英語でhawk）」を組み合わせた政治的なタカ派姿勢への期待なのです。
前財務官僚として経済政策に精通し、初代経済安全保障担当大臣としての実績を持つ小林氏。
前回2024年総裁選では13人の推薦人を集め、中堅・若手議員による勉強会を定期開催するなど、着実に支持基盤を築いてきました。
興味深いのは、小林氏が最近のインタビューで「ワン自民（ONE自民）の体制を作ることが必要」「自民党再生のラストチャンス」と表現している点です。
この発言からは、党内融和を重視し、他候補との協調も辞さない姿勢が読み取れます。
推薦人20人の壁——現実はこれほど厳しい
総裁選の「推薦人20人」というハードルは、想像以上に高いものとなっています。
なぜなら、昨年の衆院選と今年の参院選を経て、自民党の国会議員総数が約295人まで減少しているからです。
特に深刻なのが高市氏の状況でしょう。
前回総裁選の推薦人のうち9人を失い、現在確保できているのは11人まで。
政治評論家の田﨑史郎氏も「高市さんは苦労されるんじゃないか」と分析しています。
一方、小林氏は13人程度の推薦人を維持していると報じられており、比較的安定した状況にあるようです。
しかし、これでも立候補ラインまであと7人。決して楽観できる数字ではありません。
事前調整のリアルな可能性を検証する
政策的な親和性は確実に存在
両氏の政策を比較すると、経済安全保障分野での豊富な経験と保守的志向で明確な共通点が見えてきます。
高市氏は「供給を超える需要が供給サイドに圧力となり生産性を向上させる」という経済成長論を展開。
小林氏は科学技術・イノベーション戦略、知的財産戦略での実績を重ねており、政策の方向性に大きな齟齬はありません。
支持基盤の「棲み分け」がカギ
ここで重要なのは、両氏の支持基盤の違いです。
高市氏が保守系議員を中心とするのに対し、小林氏は30〜50人規模の中堅・若手勉強会を定期開催するなど、異なる層にアプローチしています。
この「棲み分け」こそが、事前調整を成功させる条件となる可能性があります。
互いの支持者を奪い合うのではなく、補完し合える関係性が構築できれば、20人の推薦人確保は現実的になるからです。
小林氏に見える「歩み寄り」のシグナル
筆者（なおじ）が注目するのは、小林氏の最近の発言です。
「仲間と相談して考え抜きたい」「ワン自民の体制作りが必要」といった表現からは、独りよがりな立候補ではなく、党内の意見調整を重視する姿勢が感じられるからです。
これは高市氏への配慮、あるいは協調への意志表示とも解釈できるでしょう。
保守系の票を分け合って共倒れするよりも、どちらか一方が立候補し、もう一方が支援に回る——そんなシナリオを小林氏自身が描いている可能性があります。
少数与党という現実が与える影響
野党連携能力が新たな選考基準に
衆参ともに少数与党となった現状では、総裁の資質として「野党との連携能力」が重視されるようになりました。
この点で、小泉進次郎農相の「維新との親和性」が注目される一方、高市氏と小林氏は実績作りが課題となっています。
しかし、見方を変えれば、この状況は両氏にとってチャンスでもあります。
事前調整により保守票を一本化できれば、野党連携で劣勢な部分を補えるかもしれません。
フルスペック方式での地方票争奪戦
総裁選が党員投票を含む「フルスペック方式」で実施される見通しとなったことで、地方票の動向も重要になりました。
高市氏は前回、党員票で1位を獲得した実績があるものの、今回は情勢が異なります。
小林氏の地方での知名度はまだ十分とは言えず、この点でも両氏の協調が合理的な選択となる可能性がある、と言えます。
参政党流出票の取り戻し——保守系有権者の期待
元社会科教師として長年政治を見てきた筆者の視点では、今回の総裁選が持つ意味はそれだけではありません。
参政党や日本保守党に流れた保守系有権者の信頼を取り戻せるかという重要な試金石でもあるのです。
これらの政党に支持を移した有権者の多くは、自民党の「保守政党らしさ」に失望していました。
高市氏と小林氏という経済安保のスペシャリスト2人が共倒れすることは、保守層の自民党離れをさらに加速させるリスクがあります。
逆に言えば、両氏が事前調整により保守票を結集できれば、失われた信頼の回復につながる可能性があるでしょう。
現実的な事前調整シナリオ
シナリオ1：完全一本化パターン
どちらか一方が立候補を見送り、もう一方を全面支援する形。
最も効果的ですが、両氏の総裁選への強い意欲を考えると、まだ課題はあるようです。
シナリオ2：政策協調パターン（最有力）
両氏とも立候補するが、政策面での連携を約束し、決選投票では協力する形。
現在の情勢では最も現実的な選択肢と考えられます。
シナリオ3：将来協力約束パターン
今回は別々に戦うが、敗者が勝者を支援し、将来的な要職での協力を約束する形。
長期的な視点での党内融和を重視するアプローチです。
ただし、この場合、参政党や日本保守党に流れた支持者の絶望感は払しょくできないでしょう。
まとめ——総裁選が映す自民党の未来
コバホーク（小林鷹之氏）と高市早苗氏の「共倒れ」回避に向けた事前調整は、政策面での親和性や支持基盤の補完性から見て十分に可能性があります。
特に小林氏の最近の発言からは、党内協調を重視する姿勢が読み取れ、何らかの調整が行われる可能性が高い気がします。
ただし、両氏ともに総裁選への強い意欲を示していることから、完全な一本化よりも政策協調や将来的な協力約束が現実的な落としどころとなるのかもしれません。（なおじ予想）
9月22日告示・10月4日投開票の総裁選まで、両氏の動向と事前調整の行方が最大の注目点となります。
その結果は、自民党の保守性回復と、参政党などに流出した支持者の信頼獲得にも大きな影響を与えるでしょう。
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