神奈川県鎌倉市の静かな住宅街が、今や「危険地帯」と化している。
アニメ『スラムダンク』の聖地として世界的に有名になった鎌倉高校前駅周辺では、観光客が関わる交通事故が相次ぎ、地元住民からは「もう限界」との悲鳴が上がっているのだ。

【緊急事態】スラムダンク聖地で死亡事故発生の衝撃
2025年元日に起きた悲劇的な事故
新年を祝うはずだった2025年1月1日午前10時08分、鎌倉市腰越1丁目の国道134号で痛ましい事故が発生した。
バイクと軽自動車の衝突により、バイクの運転手が命を落とす結果となったのだ。
この事故で軽乗用車を運転していたのは、初日の出を見に行った帰りのベトナム国籍の女子高生(18歳)だった。
彼女は「居眠りしてしまった」と供述しており、現行犯逮捕されている。
事故現場の混乱と交通への影響
事故の影響は甚大だった。
国道134号の鎌倉高校前交差点から小動交差点間が長時間通行止めとなり、地域の交通網は大きく麻痺。
普段から観光客で混雑するこの区間が、さらなる混乱に見舞われることとなった。
【深刻化】過去から続く観光客絡みの接触事故
地元住民が体験した恐怖の瞬間
実は、この地域での観光客絡みの事故は今回が初めてではない。
約4年前、50代の地元男性が運転する車が、撮影に夢中になっていた外国人女性観光客と接触する事故が発生。
幸い軽傷で済んだものの、当事者の男性は今も「車で踏切にさしかかると、人がぶわっとなっているのが怖い」と語る。
さらに深刻なのは、新型コロナ以前に起きた別の事故だ。
60代男性が踏切手前の坂道を下っていた際、対向車線の車とミラー同士が接触。
原因は対向ドライバーが密集する観光客に気を取られ、反対車線にはみ出してしまったことだった。
日常的に繰り返される危険行為
現地を訪れると、その危険性は一目瞭然だ。
平日でも約30人、休日には70〜100人の観光客が同時に滞在。
彼らの多くが車道に飛び出して撮影を行い、緊急車両が来ても撮影をやめようとしない光景が日常的に繰り広げられている。
【悲痛】地元住民の限界を超えた訴え
生活を脅かされる住民たち
地元で暮らす人々の証言は切実だ。
江ノ電を利用する鎌倉高校の生徒は「歩道が毎日混雑しているので、車道を通らざるを得ない時もあって危険」と不安を訴えている。
70代の男性住民に至っては、車での買い物を朝9時前までに済ませるという異常事態に追い込まれた。
本来なら観光客を歓迎すべき地元住民が、逆に生活を制限されているのが現状なのだ。
住民の声「後ろから車が来ても気づかない観光客」
ある地域住民の証言は特に印象的だった。
「後ろから車が来ているのに観光客はみんな撮影のため線路の方ばかり見ているから、事故の起きる危険が常にある」
この言葉からは、日々感じている恐怖と苛立ちがひしひしと伝わってくる。
【対策】行政と鉄道会社の取り組み状況
限定的な警備員配置の現状
鎌倉市と江ノ島電鉄は2017年から交通誘導を行う警備員を配置しているが、その対応は土日や大型連休、中国の祝日に限定されている。
しかし現在は、警備員のいない平日にも観光客が殺到する事態となっており、対策の見直しが急務となっている。
松尾崇市長も「警備員の配置拡大も検討したい」と前向きな姿勢を示しているものの、具体的な実施時期は明らかになっていない
多言語での注意喚起と技術的対策
現在実施されている対策として、英語・中国語・韓国語で「車道や民家に立ち入らないように」と書かれた看板の設置がある。
また市広報課では、ツイッターを活用して外国語で危険性を呼びかける取り組みも行っている。
2024年12月には防犯カメラが設置され、迷惑行為防止対策の強化が図られた。
しかし、これらの対策で根本的な問題が解決するかは未知数だ。
【背景】スラムダンク聖地ブームの光と影
世界的人気が招いた予想外の事態
1990年代の名作バスケットボール漫画『SLAM DUNK』のアニメ版オープニングに登場する踏切として、この場所は国内外から注目を集めるようになった。
特に2022年の映画『THE FIRST SLAM DUNK』公開以降、アジア圏からの観光客が爆発的に増加している。
作品への愛情から訪れるファンたちの気持ちは理解できるものの、その結果として静かな住宅街が混乱に陥る事態となってしまった。
オーバーツーリズムの典型例として
この問題は、日本各地で起きている「オーバーツーリズム」の典型例といえる。
観光地における交通渋滞、迷惑行為、地域住民の生活への深刻な影響など、持続可能な観光のあり方が根本から問い直されている状況だ。
【今後】安全確保に向けた課題と展望
連絡会の再開と地域一体の取り組み
2019年11月に開催された「外国人等観光客対策連絡会」は、新型コロナ流行で休止状態となっている。
しかし近隣の自治会では「命に関わる事故を防ぐためにも、連絡会の再開を検討したい」との方針が示されており、地域一体となった対策の模索が始まりそうだ。
抜本的な解決策への模索
現在の対策は応急処置的な側面が強く、根本的な解決には至っていない。
警備員の常時配置、物理的な安全対策の強化、観光客への教育・啓発の徹底など、より踏み込んだ対策が求められている。
まとめ:ファンの聖地愛と地域の安全の両立を
スラムダンク聖地として愛される鎌倉高校前駅周辺で起きている問題は、単なる観光地の混雑を超えた深刻な安全問題となっている。
作品への愛情と地域住民の安全、この両方を守るための知恵と工夫が今こそ求められている。
注意事項
この記事は2025年9月13日時点の公式報道および信頼できる情報源に基づいて作成しています。推測や分析部分は明確に区別し、未確認情報については適切に注釈を付けています。最新の動向については、公式情報源でのご確認をお勧めします。
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