自民党総裁選(10月4日投開票)で、高市早苗前経済安全保障担当相と小泉進次郎農林水産相の間で、太陽光発電政策を巡る対立が鮮明になっています。
両候補の環境・エネルギー政策における立場の違いは、今後の自民党の方向性を左右する重要な争点として注目されています。


高市氏の太陽光発電批判—「釧路湿原におかしいと思いませんか」
9月22日の総裁選立会演説会で、高市氏は北海道の釧路湿原国立公園周辺での大規模太陽光発電所建設問題を取り上げ、「大体おかしいと思いませんか。
釧路湿原に太陽光パネルを敷き詰めるようなやり方は」と強く批判しました
さらに高市氏は、現在の再生可能エネルギー政策について「歪んだ補助金制度による結果だ」と指摘し、「補助金制度の大掃除をして、本当に役に立つものに絞り込む」との方針を表明しています。
この発言は、明らかに小泉氏が環境大臣時代に推進した政策への批判と受け取られています。
小泉氏の政策転換—環境大臣時代からの変化
小泉氏は2019年から2021年の環境大臣時代、国立公園内での再生可能エネルギー発電所の設置を促す規制緩和を積極的に推進していました。
2020年10月の日本経済新聞のインタビューでは、「地熱や太陽光、風力を利用しやすい」ことを理由に、国立公園内での再エネ発電促進を表明していました。
しかし、9月24日の公開討論会では立場を修正し、「太陽光発電が環境破壊につながる、希少種の保護に逆行する事業には対応が必要」と述べ、メガソーラーによる環境破壊への懸念を認める発言をしたのです。
政策対立の背景—党内の環境・エネルギー政策見直し機運

この政策対立の背景には、自民党内でのエネルギー政策見直し機運があります。
総裁選の5候補全員が原子力活用を明言する一方で 、太陽光発電を巡っては意見が分かれています。
アルピニストの野口健氏は9月20日、X(旧ツイッター)で「環境大臣を務めた小泉進次郎氏にもメガソーラー問題についてお聞きしたい」と投稿し 、小泉氏の過去の政策への批判を展開するなど、党外からも注目を集めています。
両候補の現在の立場—連立拡大でも温度差
エネルギー政策以外でも、両候補間には温度差が見られます。
野党との連立拡大について、高市氏は「首班指名までに実現できるよう全力を尽くす」と積極姿勢を示す一方 、小泉氏は「期限は区切らない」として慎重な姿勢を示しています。
今後の展望—政策転換の真意が問われる
小泉氏の政策修正について、党内からは「信念がない」との批判も出ています。
一方、高市氏の「補助金制度大掃除」発言は、保守系議員からは支持されているものの、再エネ業界からは懸念の声も上がっています。
10月4日の投開票に向け、両候補の環境・エネルギー政策に関する議論は、自民党の今後の政策方向を占う重要な争点として注視されます。

