こんにちは、なおじです。
「国会議員には残業代が出ないの?」「国会議員は何時間働いてもいいの?」という疑問を持ったことはありませんか。
実は、国会議員には労働基準法が適用されません。
一般の会社員なら「1日8時間」「週40時間」と決められている労働時間のルールが、国会議員には存在しないのです。
今日は元社会科教師として35年間、憲法や法律を教えてきた経験から、その法的根拠を詳しく解説します。

この記事でわかること
- 労働基準法第116条の内容と国会議員が適用除外される理由
- 国会議員と一般労働者の法的地位の決定的な違い
- 特別職国家公務員と一般職国家公務員の比較
- なぜ国会議員は緊急事態に無制限で対応する責務があるのか
- 諸外国の国会議員の労働法適用状況
労働基準法第116条とは|国会議員が適用除外される法的根拠

労働基準法第116条の規定
国会議員に労働基準法が適用されない根拠は、労働基準法第116条にあります。
この条文には「この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない」と書かれていますが、実はもう一つ重要な規定があります。
それが「国家公務員法及び地方公務員法の適用を受ける職員については、別段の定めがある」という部分です。
さらに国家公務員法第2条では、国会議員は**「特別職国家公務員」**に分類され、一般の労働基準法ではなく、別の法律(国会法・歳費法など)によって職務が規定されています。
特別職国家公務員とは何か
特別職国家公務員とは、選挙で選ばれたり、特別な役職に就いたりする公務員のことです。
具体的には以下の職種が該当します。
- 国会議員(衆議院議員・参議院議員)
- 内閣総理大臣・国務大臣
- 裁判官
- 防衛省の自衛官
- 大使・公使
これらの職種は、一般の労働者とは異なる法的地位を持っています。
なぜなら、国民の代表として、または国家の重要な判断を下す立場として、時間に縛られずに職務を遂行する必要があるからです。
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国会議員と一般労働者の法的地位の違い|比較表で徹底整理

決定的に異なる10の要素
国会議員と一般労働者では、法的根拠が根本的に異なります。
元社会科教師として生徒たちに教えてきた内容を、比較表で整理してみましょう。
| 項目 | 国会議員 | 一般労働者 |
|---|---|---|
| 法的根拠 | 憲法第43条・国会法 | 労働基準法・労働契約法 |
| 選出方法 | 国民の選挙 | 雇用契約 |
| 報酬の名称 | 歳費(国会法第35条) | 給与・賃金 |
| 労働時間 | 規定なし(国会会期に準じる) | 1日8時間・週40時間 |
| 残業代 | なし | あり(労働基準法第37条) |
| 休日 | 規定なし | 週1日以上(労働基準法第35条) |
| 有給休暇 | なし | 年10日以上(労働基準法第39条) |
| 雇用主 | なし(国民の代表) | 会社・事業主 |
| 解雇 | なし(任期満了・辞職・失職) | 解雇(労働契約法) |
| 労働組合 | 結成不可 | 結成可能(労働組合法) |
憲法第15条「全体の奉仕者」の意味
日本国憲法第15条には、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」と書かれています。
この「全体の奉仕者」という言葉が重要です。
国会議員は、特定の会社や個人に雇われているのではなく、国民全体のために働く存在です。
そのため、一般の労働者のように「雇用主と労働者」という関係ではなく、「国民と代表者」という関係になります。
だからこそ、労働基準法という「労働者を保護するための法律」は適用されないのです。
なぜ国会議員は無制限に働けるのか|緊急事態対応の責務

災害・安全保障での対応義務
国会議員に労働時間の制限がない最大の理由は、緊急事態への対応義務です。
たとえば、大地震が深夜に発生したとき、内閣総理大臣が「今は勤務時間外だから対応しません」と言ったらどうなるでしょうか。
北朝鮮によるミサイル発射が早朝に起きたとき、国会議員が「今日は休日なので出勤できません」と言ったら、国民の安全は守れません。
実際、2011年の東日本大震災では、当時の菅直人首相をはじめ、多くの国会議員が不眠不休で対応にあたりました。
2020年の新型コロナウイルス対策でも、政府や国会議員は深夜・休日を問わず対策会議を開き続けました。
過去の事例から見る国会議員の働き方
元教師として生徒たちに「公職とは何か」を教えるとき、なおじはいつもこう説明してきました。
「国会議員は、国民の命と暮らしを守るために、24時間365日、いつでも動ける態勢にいる必要がある」と。
実際、国会の会期中は朝から深夜まで委員会や本会議が続くことも珍しくありません。
地元の選挙区では週末も支援者との面会や地域活動があり、休日という概念がほとんどない議員も多いのです。
これが、労働基準法が適用されない理由の本質です。
諸外国の状況
アメリカ、イギリス、フランスなど、主要民主主義国でも、国会議員には労働法が適用されていません。
これは世界共通の原則であり、民主主義の基本的な仕組みとして認められています。
一般公務員との違いは?|特別職と一般職の比較

一般職公務員には労働基準法が適用される
ここで混乱しやすいのが、「公務員」という言葉です。
実は公務員には「特別職」と「一般職」があり、一般職の公務員には労働基準法が適用されます。
| 区分 | 該当する職種 | 労働基準法 |
|---|---|---|
| 特別職国家公務員 | 国会議員・大臣・裁判官・自衛官 | 適用されない |
| 一般職国家公務員 | 国家公務員(官僚・税務署職員など) | 適用される |
| 一般職地方公務員 | 県庁職員・市役所職員・教員など | 適用される |
なぜ特別職と一般職で違うのか
特別職は、選挙で選ばれたり、国家の重要な判断を下す立場にあります。
一方、一般職は、特定の業務を遂行する「職員」として雇用されています。
元教師として35年間、公立学校で働いてきたなおじも、一般職地方公務員でした。
なおじには労働基準法が適用され、労働時間や休日が法律で守られていました。
しかし、国会議員は「雇われている」のではなく、「国民の代表として選ばれている」ため、労働基準法の適用外なのです。
この違いは、民主主義の根幹に関わる重要なポイントです。
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国会議員の労働条件Q&A|よくある5つの疑問
Q1:国会議員に残業代は出るの?
A:出ません。
国会議員の報酬は「歳費」と呼ばれ、月額約129万円(2024年現在)が支給されます。
これは「給与」ではなく「歳費」であり、労働時間に関係なく一定額が支払われます。
残業という概念がないため、残業代もありません。
Q2:国会議員は労働組合を作れるの?
A:作れません。
労働組合法は「労働者」のための法律であり、国会議員は労働者ではないため、労働組合を結成することはできません。
ただし、政党や議員連盟などの政治団体を作ることは可能です。
Q3:国会議員が過労で倒れたらどうなる?
A:労災認定はされませんが、公務災害として扱われる可能性があります。
国会議員は労働基準法の適用外なので、労災保険は適用されません。
ただし、公務中の事故や過労による健康被害は、別の制度で補償される可能性があります。
Q4:なぜ国会議員だけ特別扱いなの?
A:「特別扱い」ではなく、「法的地位が異なる」ためです。
国会議員は、国民全体の代表として選ばれた存在であり、一般の労働者とは役割が根本的に違います。
緊急事態に24時間対応する責務があるため、労働時間の制限を設けることができないのです。
Q5:諸外国でも同じなの?
A:はい、主要民主主義国では同様です。
アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなど、主要国の国会議員にも労働法は適用されていません。
これは民主主義国家における世界共通の原則です。
【筆者プロフィール】|なおじ
元社会科教師として35年間、小・中学校で憲法や法律を教えてきました。
現在は8つのブログでドラマ・芸能・政治・歴史・スポーツ・旅・学び・書評を執筆しています。
政治記事では、法律や制度の仕組みを分かりやすく解説するスタイルを心がけています