
山梨県富士河口湖町のローソン河口湖駅前店で、町が新たな安全対策を実施しました。
富士山がコンビニの上に「のっている」ような写真が撮影できるとして訪日客に絶大な人気を誇る「コンビニ富士」スポットですが、
危険な車道横断を防ぐために設置されていたポールに、今月茶色い幕が新設されました。
これは観光客の安全確保と大型バスの円滑な運行の両立を図るための措置です。
経緯:安全対策とバス運行の困難な両立
過去の対策とその変遷
富士河口湖町では、車道での撮影など訪日客による危険行為が相次いだことを受け、2024年5月に眺望を遮る幕を設置しました。
その後、8月に幕は撤去されましたが、支柱として使用されていた高さ約2.5メートルの黄色いポールは残され、ワイヤでつないで車道への立ち入りを防ぐ仕組みが継続されていました。
バス会社からの安全上の懸念
しかし、複数のバス会社から「大型バスの運行時に危険」との声が上がったほか、実際にポールにミラーが接触したとみられる跡も確認されました。
さらに、バスが安全確保のため低速走行を余儀なくされ、付近で頻繁に渋滞が発生するなどの問題も浮上していました。
新たな解決策:高さ調整と幕の追加設置
ポール高の調整工事
これらの問題を受けて、町はポールを1.4メートルほどに低くする工事を実施しました。
大型バスの安全な通行を確保しながら、一定の車道侵入抑制効果を維持するための措置です。
茶色幕の新設置
ただし、ポールの高さを低くしたことで、観光客がポールをまたいで車道に出る可能性が高まったため、今月、茶色い幕を新たに設置しました。
この幕により、物理的な障壁としての機能を補強し、安全性の確保を図っています。
オーバーツーリズム対策の現実的課題
多面的な利害関係の調整
この事例は、オーバーツーリズムが引き起こす複雑な問題を象徴しています:
- 観光客の安全確保
- 地域住民の生活への配慮
- 交通機関の円滑な運行
- 観光地としての魅力維持
継続的な対策の必要性
富士河口湖町の対応は、完全な解決策というよりも現実的な妥協点を模索する取り組みといえます。
茶色という目立たない色の選択も、景観への配慮を示すものでしょう。
今後の展望と課題
現在の対策が観光客の行動変化にどの程度効果を示すかは未知数です。
根本的な解決には、観光客への継続的な啓発活動や、より安全な撮影スポットの代替案提示なども検討される可能性があります。
地方自治体にとって、観光振興と住民生活の質の維持は重要な政策課題です。
富士河口湖町の今回の取り組みは、他の観光地にとっても参考となる事例として注目されます。
※本記事は読売新聞の報道をもとに、事実確認を行った上で執筆しています。推測や分析部分は明確に区別し、確認可能な公開情報に基づいて作成しています。