
2025年8月13日夜、大阪・関西万博の会場である人工島・夢洲を直撃したのは、大阪メトロ中央線で発生した電気系統のトラブルでした。
この影響で、午後9時半ごろから全線が運行を停止し、帰宅の手段を失った来場者が続出。
最終的に約3万8000人が夢洲周辺で立ち往生し、そのうちおよそ1万1000人が翌朝まで会場や周辺で一夜を明かしたと発表されています(出典:読売新聞、NHK)。
徒歩での”脱出”が相次ぐ
会場周辺では、スマートフォンの位置情報を基にした解析によって、多数の来場者が徒歩で夢洲を脱出していたことが確認されました。
夢洲は橋で隣の人工島・舞洲につながっていますが、夜間での長距離徒歩移動は通常想定されていません。
それでも公共交通の案内が遅れたことで、一部の人々は暗い橋を歩きながら市街地を目指すという“手探りの帰宅”を強いられたのです。
情報発信の遅れが混乱を拡大
中央線は午後10時10分に夢洲駅とコスモスクエア駅との区間で部分的に運転を再開しました。
しかし、代替ルートなどの詳細な運行情報が公式アプリを通じて発信されたのは翌14日午前1時を回ってから。
万博協会は「駅に一気に人が殺到するのを避けるため、通知を遅らせた」と説明しましたが、その間に多くの来場者が不安に駆られ、徒歩での移動を選ばざるを得ませんでした。
足止めの実態と地域的な弱点
夢洲や舞洲周辺は商業施設が少なく、飲料や食料を確保できる店舗が限られています。
特に深夜の時間帯は営業している施設も乏しく、滞留した来場者の負担は大きなものとなりました。
こうした地域特性は、万博会場の立地が抱える根本的な弱点の一つであり、交通トラブル時の対応不足を浮き彫りにしています。
今後に向けた課題
今回のトラブルは、輸送計画や危機管理体制に大きな課題を残しました。
今後は、想定外の混乱時でも速やかに情報を共有する体制、代替交通の確保、さらには徒歩避難時の安全策といった点で見直しが避けられません。
協会は検証を進める方針を示していますが、万博そのものへの信頼を維持するためには迅速な対応が求められています。
※この記事は、読売新聞(2025年8月22日付)およびNHKの報道を基に構成しました。未確認情報は含んでおらず、公式発表に基づき執筆しています。最新の動向は関係機関の発表をご確認ください。