2025年8月28日午前4時53分、霧島連山の新燃岳で7月3日以来となる大規模噴火が発生し、噴煙が火口から5500メートルの高さまで上昇しました。
福岡管区気象台によると、この規模の噴火は約2ヶ月ぶりで、午前8時現在も噴火が継続しており、さらに午前9時にも噴煙3700メートルまで上がる噴火が確認されています。
現在、火口から南西方向に火山灰が流され、鹿児島県霧島市と宮崎県小林市では多量の降灰が予想されています。
噴火に伴う大きな噴石の飛散や火砕流は観測されておらず、鹿児島空港の運航は現在のところ平常通りとなっています。

降灰予想と警戒すべき地域
気象庁の最新発表によると、28日午後3時までの降灰予想は以下の通りです:
多量の降灰が予想される地域
- 鹿児島県霧島市:視界不良による外出制限を検討
- 宮崎県小林市:多量の降灰で日常生活に支障の可能性
やや多量の降灰が予想される地域
- 宮崎県都城市:軽微な影響、注意が必要
- 鹿児島県曽於市:同程度の影響を予想
少量の降灰が予想される地域
- 鹿児島県鹿児島市、日置市
- 宮崎県えびの市、高原町

噴煙は火口から南西方向に流れており、風下では火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降る恐れがあるため、該当地域の住民は注意が必要です。

火山活動の状況と警戒レベル
新燃岳は現在噴火警戒レベル3(入山規制)が継続されており、火口から概ね3kmの範囲では大きな噴石、概ね2kmの範囲では火砕流に警戒が必要です。
新燃岳周辺の傾斜計では、この噴火に伴い山体の収縮を示すと考えられる傾斜変動が観測されています。
現在の防災上の警戒事項
- 弾道を描いて飛散する大きな噴石:火口から概ね3kmまで到達の可能性
- 火砕流:概ね2kmまで到達の可能性
- 空振による窓ガラス破損:2011年と同様の現象に注意
- 風下での小さな噴石:遠方まで風に流される恐れ
交通機関への影響
現在のところ、鹿児島空港の発着便は平常通り運航しています。
これは7月3日の前回大規模噴火時に49便が欠航した状況とは対照的です。
ただし、今後の降灰状況次第では運航に影響が出る可能性があり、各航空会社は運航状況をホームページで随時更新しています。
JR九州の状況
JR日豊本線では、大雨災害の影響により一部区間で運休が続いていましたが、8月26日に西都城駅~霧島神宮駅間の運行が再開されました。
現在、霧島神宮駅~国分駅間は代替バス運行中で、9月下旬の運転再開を予定しています。
新燃岳噴火による鉄道への直接的な影響は現在報告されていません。


住民への行動指針
即座に取るべき行動
- 外出の制限:多量降灰予想地域では不要不急の外出を控える
- マスクとゴーグルの着用:外出時は呼吸器系と目の保護が必要
- 車の運転注意:視界不良と路面のスリップに警戒
- 窓の施錠確認:空振による窓ガラス破損防止
継続的な注意事項
- 気象庁の火山情報を定期的に確認
- 地元自治体の指示に従い危険地域への立ち入り禁止
- 防災無線ときりしま防災・行政ナビでの最新情報確認
霧島市では「新燃岳の噴火により、今後も降灰の影響が考えられます」として、住民に火山関連の情報に注意を払うよう呼びかけています。
今後の見通し
新燃岳の火山活動は活発な状態で経過しており、気象台は火口から概ね3kmの範囲での大きな噴石に引き続き警戒するよう呼びかけています。
2025年6月22日から始まった一連の火山活動は、3月頃から観測されていた霧島山深部の膨張と関連しており、専門機関では今後も活動が継続する可能性があると分析しています。
住民と観光客は地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らず、最新の火山情報と降灰予報を定期的に確認することが重要です。
特に風下にあたる地域では、今後数時間から数日間にわたって火山灰の影響が続く可能性があるため、継続的な注意が必要です。