こんにちは、なおじです。
高市政権が2026年に直面する3つの課題が、米国のベネズエラ武力行使によって鮮明になってきた。
この高市政権の2026年の課題をどう整理するか。
その整理が、日本の外交と内政を理解するうえで重要な視点となる。
2026年1月3日、トランプ政権がベネズエラに軍事作戦を実施し、マドゥロ大統領夫妻を拘束した。
日本の地上波テレビでは「国際法違反だ」という論調が主流だが、この報道姿勢には疑問が残る。
国際法を無視し続けてきた独裁政権に対する今回の行動を、世界は本当に国際法違反だととらえているのだろうか。
35年間社会科を教えてきた立場から見ると、この問題は「理想と現実のギャップ」を考える絶好の教材に思える。
そして、高市政権にとっては、日米連携・日中関係・経済政策という3つの課題が同時に試される局面となっている。

【この記事でわかること】
- 米国のベネズエラ武力行使の概要と国際社会の反応
- 高市政権が2026年に直面する3つの具体的課題
- 国際法違反批判の妥当性と地上波報道の検証
- 中国への影響と台湾有事リスクの分析
- 高市政権の外交政策が目指す方向性
米国のベネズエラ武力行使と国際社会の反応
トランプ政権による軍事作戦の概要
2026年1月3日、トランプ大統領はベネズエラに対する軍事作戦を実施した。
カラカスなど複数箇所で爆発が発生し、マドゥロ大統領夫妻が拘束された。
トランプ氏は「ベネズエラ国民を独裁から解放する」と声明を発表している。
この軍事作戦は、国連安保理の許可を得ていない。
自衛権の行使にも該当しない一方的な武力行使だ。
中国とロシアの強い反発
中国外相・王毅は「最も強い反発」を示した。
ベネズエラは中国にとって南米最大の石油供給国であり、石油輸出の8割が中国向けだ。
米国にとっては、ここがポイントの一つであることは間違いないだろう。
このままにしておくわけにはいかなかったことはうなずける。
ただし、「米国の武力行使」が前例となり、台湾問題に影響を与えるリスクが高まると懸念する声もある。
興味深いのは、中国の中南米・カリブ海担当特使がマドゥロ氏と会談した数時間後に攻撃が発生した点だ。
偶然とは考えにくい。
ロシアも「主権侵害」として強く非難している。
イギリスと欧州の曖昧な姿勢
イギリスのスターマー首相は「国際法を順守すべき」と述べたが、これは米国批判ではない。
同時に「マドゥロは正統性がない大統領」とも指摘しており、米国の行動に一定の理解を示している。
「一切関与していない」という表現も、批判というより距離を置く慎重な態度だ。
フランスのマクロン大統領に至っては「ベネズエラ国民はマドゥロの独裁から解放された」と称賛している。
政府報道官が「手段は支持も承認もしない」と留保をつけたが、これは形式的なものだろう。
ロイターの分析によれば、「多くの欧州諸国は米国の名指しを避けつつ国際法の尊重を求めた」という。
つまり、明確に批判している国はほとんどない。
国連事務総長は「危険な前例」として懸念を表明したが、機能不全に陥っている国連の発言力は限定的だ。
公然と批判しているのは中国、ロシア、ベネズエラの同盟国(キューバ、ニカラグアなど)に限られる。
高市政権が直面する2026年の3つの課題

第一の課題:日米連携の維持と強化
高市政権にとって最大の課題は、日米連携を崩さず、むしろ強化することだ。
トランプ政権との関係は良好だが、米国の一方的な行動に対して日本がどう反応するかは、同盟国としての信頼性を測る試金石となる。
過度に距離を置けば、日米同盟の実効性が疑われる。
ベネズエラ情勢でも、高市首相は「情勢安定化に向けた外交努力」と述べるにとどめ、明確な是非判断を避けた。
これは慎重な対応であり、評価できる。
ただし、水面下では日米の緊密な連携が不可欠だ。
同盟国としての一体性を保ちながら、国際社会への説明責任も果たす。
この両立こそが、2026年の高市政権に求められている外交手腕だろう。
👉関連記事:高市早苗首相とトランプ大統領の初会談を徹底解説!日米新黄金時代の幕開けと合意
第二の課題:冷え込む日中関係への対応
日中関係の悪化は、2026年の高市政権にとって重要な課題だが、リスクを負っているのは実は中国側だ。
日本の対中貿易依存度は約21%に達するが、過去の事例を見れば日本側のリスクは限定的だ。
中国が2023年に実施した海産物の輸入禁止措置でも、日本経済への打撃はほとんどなかった。
むしろ、日本産海産物を輸入できなくなった中国側が困っている。
中国人観光客の減少についても、違法白タクや違法民泊が減少しただけで、健全な観光業への影響は軽微だった。
一部の旅館が痛手を負ったのは、中国人客に過度に依存していた経営判断の結果ともいえる。
レアアースについても、日本は代替化に成功している。中国がレアアースを輸出しなければ、それを使った精密機器を中国が輸入できなくなる。
リスクを負っているのは中国側だ。
つまり、高市政権の課題は、「日中関係悪化のリスク管理」ではなく、「中国の報復措置を過度に恐れず、原則的な外交を貫けるか」という点にある。
大和総研のレポートが指摘する「対処の難しさ」とは、経済界の過剰な中国配慮をどう調整するかという政治的な難しさだろう。
👉関連記事:薛剣総領事『首を斬る』発言は外交問題か|戦狼外交の実態を元教師が解説
第三の課題:実質賃金の安定的上昇
外交課題と並行して、国内経済の立て直しも2026年の課題だ。
実質賃金の安定的上昇が実現しなければ、高支持率を維持できない。
大和総研の試算では、政策推進シナリオで実質賃金は前年比+1.2〜1.6%の成長が可能とされている。
ただし、物価高が続けば、賃金上昇が追いつかないリスクもある。
高市政権は企業への賃上げ要請を強化しているが、効果が出るまでには時間がかかる。
【表:高市政権の2026年3つの課題】
| 課題 | 内容 | リスク | 対応方針 |
|---|---|---|---|
| ①日米連携の維持と強化 | 米国の一方的行動への対応 | 距離を置きすぎて同盟の実効性を損なう | 水面下での緊密な連携と説明責任の両立 |
| ②冷え込む日中関係 | 経済依存と安全保障の矛盾 | 経済界の過剰な中国配慮 | 原則的外交と経済界の調整 |
| ③実質賃金の安定的上昇 | 物価高と賃金上昇のタイムラグ | 支持率低下・内閣基盤の弱体化 | 構造改革と企業への賃上げ要請 |
(大和総研レポート等を参考に筆者作成 :2026年1月時点)
国際法違反批判は妥当か?検証と分析
国際法の原則と米国の主張
国際法の原則は明確だ。国連憲章第2条第4項は、武力の行使を原則として禁止している。
例外は、①国連安保理の許可、②自衛権の行使、の2つだけだ。今回の米国の行動は、どちらにも該当しない。
したがって、形式的には「国際法違反」という指摘は正しい。
国連事務総長や国際法専門家が批判するのも当然だ。
日本の旧メディアの偏った報道姿勢
問題は、日本の地上波テレビが**「国際法違反」一色の論調**で米国を批判している点だ。
日テレ、TBS、テレビ朝日など、ほとんどの局が同じ論調で報道している。
「各国の反応」と言いながら、中国とロシアの立場を強調し、これが世界の反応だと言わんばかりだ。
しかし実際には、欧州主要国は曖昧な姿勢を保ち、フランスは称賛さえしている。
35年間社会科を教えてきた立場から見ると、この報道姿勢は「中国擁護の側」に偏っていると言わざるを得ない。
日本のメディアは、視聴者に多様な視点を提供する責任がある。
ところが現実には、旧メディアが横並びで同じ論調を繰り返すという、極めて不健全な状況が続いている。
これでは視聴者が自分で判断する材料を得られない。
「国際法を守らない国」への対応という視点
重要なのは、米国の行動が「独裁政権からの解放」という大義を持っているかどうかだ。
教室でこの問題を扱うなら、生徒たちに「正義とは何か」を考えさせる絶好の教材になるだろう。
法と正義が一致しない場合、私たちはどう判断すべきか。
この問いに、簡単な答えはない。ただし、「国際法違反だから絶対にダメ」という単純な結論は、現実の複雑さを無視している。
中国への影響と台湾有事リスクの真相
中国政府関係者訪問のタイミング
中国の中南米・カリブ海担当特使がベネズエラを訪問し、マドゥロ氏と会談した数時間後に攻撃が発生した。
このタイミングは偶然ではないだろう。米国は「中国にメッセージを送る」という明確な意図を持っていたと考えられる。
中国外相・王毅が「激しい怒り」を示したのも、このメッセージを正確に受け取ったからだ。
「台湾進攻の口実」論の妥当性
「中国に台湾進攻の口実を与えた」という批判があるが、この見方には疑問が残る。
ロイターの分析によれば、米国の行動は「力による現状変更は許さない」という姿勢の表明だ。
むしろ、中国への抑止力として機能する可能性が高い。
「アメリカは台湾への関心が薄い」と中国に思わせたという論評もあるが、これも的外れだろう。
わざわざ中国特使の訪問中に行動を起こした理由を考えれば、逆に「台湾を見捨てない」というメッセージと読み取れる。
高市政権の安全保障政策との関連
高市政権は、台湾の安定を日本の安全保障の核心と位置づけている。
存立危機事態(日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある事態)の認定基準も含めて、慎重な判断が求められている。
今回の米国の行動は、日本にとって「台湾有事への備え」を再確認する機会となった。
👉関連記事:存立危機事態とは?高市首相の台湾有事発言をわかりやすく元教師が解説
Q&Aで振り返る高市政権の外交課題
Q1:高市政権は米国のベネズエラ攻撃を支持しているのか?
A:公式には「情勢安定化に向けた外交努力」という慎重姿勢だ。
ただし、これは日米連携を損なわないための配慮でもある。
表立って支持を表明すれば国際社会から批判を浴びるリスクがあるが、かといって米国を批判すれば同盟国としての信頼性が揺らぐ。
高市政権は日米の緊密な連携を水面下で維持しつつ、公式には慎重な言葉を選ぶという外交バランスを取っている。
同盟国として最も重要なのは、米国との信頼関係を崩さないことだ。
Q2:中国はなぜここまで強く反発しているのか?
A:ベネズエラは中国にとって南米最大の石油供給国で、石油輸出の8割が中国向けだ。
経済的関係だけでなく、「米国の一方的な武力行使」という前例が台湾問題に影響することを警戒している。
Q3:米国を批判している国はどこか?
A:公然と批判しているのは中国、ロシア、ベネズエラの同盟国(キューバ、ニカラグアなど)に限られる。
欧州諸国の多くは沈黙を保ち、フランスに至っては称賛さえしている。
つまり、米国を批判しているのは独裁国家とその同盟国だけという構図だ。
この事実を見れば、日本の地上波が「国際法違反」一色で報道する姿勢が、いかに偏っているかがわかる。
Q4:台湾有事のリスクは高まったのか?
A:むしろ逆だ。米国が「力による現状変更は許さない」という姿勢を示したことで、中国への抑止力として機能する可能性が高い。
中国特使がベネズエラにいるタイミングでの行動は、明確なメッセージと言える。
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Q5:高市政権にとって最も優先すべき課題は?
A:実質賃金の上昇だ。外交課題も重要だが、国内経済が安定しなければ政権基盤が揺らぐ。
大和総研の試算では、政策推進で前年比+1.2〜1.6%の成長が可能とされている。
【筆者紹介|なおじ】
元社会科教師として35年間教壇に立ち、現在は8つのブログでドラマ・芸能・政治・歴史・スポーツ・旅・学び・書評を執筆している。
政治・歴史記事では「データの裏にある構造」や「歴史的文脈」を丁寧に解説するスタイルが特徴だ。
