麻生院政のマイナス面

一方で、マイナス面も無視できません。
マイナス面①:高市氏の独自性が失われる
高市氏が掲げた「サナエノミクス」。
積極財政や物価高対策など、独自の経済政策でした。
しかし、麻生氏は財政規律を重視する立場です。
幹事長の鈴木俊一氏は、財務大臣として3年間財務省の方針を推進してきました。
「財務省の言いなり」とも揶揄されています。
高市氏の積極財政路線が、後退する可能性があります。
「高市氏の意見が麻生氏と違った場合、やりたいことができない」
ジャーナリストの武田一顕氏の懸念です。
実はなおじも、この点を一番心配しています。
マイナス面②:世論のイメージ悪化
「第2次麻生政権」という批判は、高市政権のイメージを傷つけます。
「高市総裁は神輿に担がれたお飾りで、実質的な権力者は麻生氏」。
こんな見方が広がっています。
女性初の総理大臣という歴史的快挙が、色あせてしまいます。
週刊文春の取材では、こう指摘されています。
「派閥政治と言われても仕方がないような陣容」
解党的出直しを掲げた自民党が、結局は派閥政治に回帰した。
そんな失望感が、支持率低下につながる恐れがあります。
なおじとしては、この点はあまり心配していません。
高市氏は、優秀です。
逆に、麻生氏をシードするのではないかと、期待を込めて思っています。
マイナス面③:公明党との距離感
麻生氏は、公明党からの選挙推薦を受けていません。
公明党とは距離があるのです。
26年間続いた自公連立が解消された今、公明党との関係修復は喫緊の課題です。
しかし、麻生氏主導の政権運営では、公明党との関係改善が難しくなります。
プレジデントオンラインの記事は、こう警告しています。
「詰めが甘いというのか慢心と言うのか。高市も麻生も、危機感がなかったのではないか」
マイナス面④:短命政権のリスク
高市政権は、確かにくのリスク要因を抱えています。
衆参両院とも少数与党です。
公明党との連立解消により、政権基盤は脆弱です。
維新の会との連立も、閣外協力にとどまります。
高市氏の保守色が強すぎれば、野党の反発が強まります。
逆に、麻生氏に配慮して保守色を抑えれば、支持者が失望するでしょう。
東洋経済オンラインは、こう分析しています。
「一歩間違えば短命政権に終わる可能性も」
英国のリズ・トラス元首相のような短命政権になるのではないか。
そんな懸念もささやかれています。
私は、大丈夫だと思っていますが…。
高市政権の今後を占う3つのポイント
ポイント①:税制調査会長と財務大臣の人事
MBSの報道では、2つの人事が焦点とされています。
税制調査会長:宮沢洋一氏が退任する見通しです。
後任が誰になるかで、消費税減税の実現可能性が変わるでしょう。
財務大臣:鈴木俊一氏が続投するのか、交代するのか。
財務省寄りの人事が続けば、サナエノミクスは骨抜きになるかも…。
ポイント②:内閣支持率
内閣支持率が上がれば、解散総選挙という選択肢も出てきます。
麻生氏は周囲に、2026年1月の通常国会冒頭での解散構想を漏らしているとされます。
ただし、麻生派内からは「自民党を2度も下野させる気なのか」と困惑の声も出ています。
支持率次第で、高市政権の命運が決まるのです。
ポイント③:麻生氏の影響力をどこまで抑えられるか
最終的には、高市氏自身の決断力が試されます。
麻生氏の助言を受けながらも、独自の政策を貫けるのか。
それとも、麻生氏の院政に甘んじるのか。
CANONグローバル戦略研究所の記事は、こう提言しています。
「高市新総裁、君子豹変せよ」
保守色一辺倒ではなく、柔軟に変化することが求められているのです。

まとめ|高市政権は「二人羽織」を乗り越えられるか
高市早苗総裁の誕生は、日本初の女性総理という歴史的快挙です。
しかし、その背後には麻生太郎氏の強大な影響力があります。
麻生院政のプラス面
- 麻生派43人の支援による党内安定
- 野党との交渉力
- 政権運営の経験とノウハウ
麻生院政のマイナス面
- 高市氏の独自性が失われる
- 「第2次麻生政権」と批判され支持率低下のリスク
- 公明党との距離感
- 短命政権に終わる可能性
高市政権の成否は、この「二人羽織政治」をどう乗り越えるかにかかっています。
麻生氏の支援を活かしつつ、独自の政策を貫く。
そのバランス感覚が、日本初の女性総理に求められているのです。
10月21日の首相指名選挙。
高市早苗氏は、どんな船出を迎えるのでしょうか。
なおじは、元社会科教師として、この歴史的瞬間を見守っていきます。
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(記事執筆:なおじ|元社会科教師・政治ブロガー)
