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高市首相G20日中関係の行方と三つのシナリオを元教師の視点で読む

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今後の展望Q&A(読者疑問)

Q: G20で中国と接触できなかった場合、日本はどう対応するの?

A: 木原官房長官は「建設的かつ安定的な関係構築という方向性に変わりはない」と繰り返しています。つまり、日本としては原則は一歩も引かずに、国際会議や二国間の場で自分たちの立場を論理的に説明し続けるという姿勢なんですね。

教師時代の感覚で言うと、「対話など絶対にできない」タイプの生徒に迎合するのではなく、あくまで冷静に何が正しいかを語り続けて、周りの生徒に理解してもらうやり方に近いです。中国側が態度を変えなくても、日本が孤立しないように、インドやイギリス、アメリカなど周囲との関係を固めることが当面の現実的な対応になると思います。

Q: 中国の圧力が強まると、日本の企業や旅行者はどうなるの?

A: すでに中国側は、日本への渡航自粛の呼びかけや、日本産水産物の事実上の輸入停止、日本関連イベントの中止など、経済カードをかなり切っています。ジェトロの商談会や交流イベントが次々と中止になり、航空便も減便の動きが出ているので、短期的には観光・輸出ともに打撃は避けられません。

一方で、多くの企業は今回を「チャイナリスク見直しの転換点」と見ていて、サプライチェーンを東南アジアやインドへ分散させる動きを強めています。痛みはありますが、長い目で見れば中国依存を減らして体質を強くするチャンスでもあります。旅行者も、「今は無理に中国に行かず、別の行き先を選ぶ」という判断が増えていくかもしれませんね。

Q: なぜ今、日中関係がここまで悪化したの?

A: 直接の引き金とされているのは、高市首相が国会で「台湾有事が存立危機事態になり得る」と答弁したことです。​
歴代政権があいまいにしてきた部分に踏み込んだため、中国外務省が強く反発し、「発言撤回」を繰り返し要求しました。​
大阪の中国総領事による「首を斬る」といった過激な投稿や、日本への渡航自粛、水産物輸入停止、SNSでの高市首相個人への攻撃など、一気にエスカレートした流れです。​

ただ、ここで一つ押さえておきたいのは、高市首相の答弁そのものは、日本の安保法制が定める「存立危機事態」の定義に沿った原則論の説明だという点です。​
国際社会から見れば、「同盟国として台湾有事にどう向き合うのか」を確認したにすぎず、「どこがそんなに問題なのか」と感じる専門家の声もあります。​

一方で、国内政治の側面も無視できません。
立憲民主党の野田代表は「国益を損なう発言」「明らかに勇み足」と批判し、質問をした岡田元外相への批判に対しても「筋違いだ」と反論しています。​

教師としての感覚で言うと、本来なら教科書レベルの原則確認で終わるはずのやり取りが、野党側の政治的な問い方と中国側の過剰反応が重なったことで、不要に炎上させられているようにも見えます。

背景には、中国側の国内事情もあります。景気減速や若年層の不満が高まる中で、「対日強硬姿勢」を打ち出すことでナショナリズムを刺激し、ガス抜きを図る狙いがあると指摘されています。

日本側から見れば筋違いな怒りでも、中国政府にとっては内政上の統治戦略として利用しやすいテーマなのかもしれません。

  • 高市答弁:原則論として妥当
  • 中国:それを口実に過剰反応
  • 国内野党・メディア:それを利用しつつ、逆に中国に利用されている面も

という三層構造
※「社会科の授業っぽい整理で、論旨をまとめてみました」

【表3:今後の日中関係の3つのシナリオ】

シナリオ内容可能性日本の対応
接触実現G20で立ち話など非公式接触関係改善のきっかけに
現状維持接触なしだが圧力も継続経済安保強化、他国との連携
さらなる悪化パンダ返還、旅行者渡航制限対抗措置、国際世論への働きかけ

このシナリオ、私の経験から言うと、[外交って正論が通じるとは限らない」ということ。

だからこそ、いろんな準備が必要なんだなって思います。

まとめ

高市首相のG20出席と中国との接触の行方は、正直なところまだ霧の中です。

​ただ、日中関係がここまでこじれてしまった以上、「すぐにわかり合う」というより、日本は自分の立場を国際社会に筋道立てて伝え続けるしかないのかなと感じます。​

教師時代、中二病全開の生徒にいきなり分かってもらおうとするのは無理で、こちらは淡々と何が正しいかを示して、周りの生徒との信頼を守ることに力を割いていました。

今回の日本外交もそれに近くて、中国と正面から分かり合うより、インドや欧州、アメリカなどとの関係を固めつつ、日本は冷静に構え続けることが、長い目で見ればいちばんの国益になるのかなと思います。

(筆者プロフィール:なおじ、元社会科教師(35年経験)。
国際政治の授業のネタ探しで日中関係を30年間教材研究してきました。複雑な問題をわかりやすく解説するのが得意です。)

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