こんにちは、なおじです。
2025年10月4日、高市早苗氏が自民党の新総裁に就任しました。
女性として自民党史上初の総裁となり、順調にいけば日本初の女性総理大臣が誕生する見込みです。
高市新総裁が掲げる経済政策は「責任ある積極財政」をスローガンに、物価高対策から産業投資まで多岐にわたります。
この記事では、高市経済政策の全容をわかりやすく解説していきます。

高市早苗の経済政策の基本方針
高市新総裁の経済政策は、「責任ある積極財政」という言葉に集約されます。
これは財政健全化よりも経済成長を重視する姿勢を示しており、アベノミクスの流れを引き継ぐものです。
具体的には、政府が積極的に投資を行うことで経済を刺激し、その結果として税収を増やし、財政を改善するという考え方です。
経済政策の柱は「危機管理投資」と「成長投資」の二本立てとなっています。
危機管理投資では防衛力強化、災害対策、エネルギー安全保障などに重点を置きます。
一方、成長投資では半導体、AI、量子コンピューティング、バイオテクノロジーなどの先端技術分野への投資を進める方針です。
これらの投資を通じて、日本経済の持続的な成長を目指しています。
金融政策については、日本銀行との「緊密な対話」を重視する姿勢を示しています。
高市氏は記者会見で「責任を持つのは政府」と述べており、低金利環境の維持を志向していることが伺えます。
ただし、日銀の独立性を尊重する立場も示しており、直接的な介入は控える見込みです。
物価高対策の3つの柱
高市新総裁の物価高対策は、国民生活に直結する3つの施策で構成されています。
これらは「すぐ対応できることをまず優先」という方針のもと、短期間での実施を目指しています。
第一の柱:給付付き税額控除の導入検討
給付付き税額控除は、低所得層から中間層まで幅広く支援する新しい仕組みです。
この制度は、所得税の控除額が実際の納税額を上回る場合、その差額を現金で給付するというものです。
例えば、控除額が5万円で納税額が3万円の場合、差額の2万円が現金として給付されます。
これにより、所得税を納めていない低所得層にも税制上の恩恵が届く仕組みとなっています。
ただし、この制度は現在「設計に着手」している段階であり、導入時期は明示されていません。
制度の実現にはマイナンバーカードを活用した所得把握システムの整備が前提となるため、実際の運用開始までには一定の期間を要する見込みです。
また、財源の確保も課題となっており、野党は法人税制の見直しや富裕層への課税強化を提案しています。
第二の柱:ガソリン・軽油の暫定税率廃止
ガソリン税と軽油引取税の暫定税率を廃止し、国民の負担を軽減する政策です。
この措置により、ガソリンは1リットルあたり約25円、軽油も同様の幅で値下げされる見込みです。
これは運送業や農業など、燃料コストの負担が大きい業種にとって大きな支援となります。
ただし、この政策には課題もあります。
ガソリン税で約1兆円、軽油引取税で約5,000億円の税収減が見込まれるため、財源の確保が必要です。
特に軽油引取税は地方税であるため、高市氏は「地方財源も確保します」と述べていますが、具体的な方策は示されていません。
また、エコノミストからは「需要を刺激するだけで物価高の根本解決にはならない」との指摘もあります。
第三の柱:自治体向け重点支援交付金の拡充
地域の実情に応じた支援を行うため、自治体向けの重点支援交付金を拡充します。
この交付金は中小企業、農林水産業、地域商店街などの支援に活用され、地域経済の活性化を図ります。
各自治体が独自の判断で使途を決められるため、地域の実情に合わせた柔軟な支援が可能となります。
積極財政による危機管理投資とは
高市新総裁の経済政策の特徴は、単なるバラマキではなく「危機管理」と「成長」を両立させる戦略的な投資にあります。
危機管理投資は、国家の安全保障と国民生活の安定を確保するための投資と位置づけられています。
防衛力強化では、戦闘機、護衛艦、宇宙領域への投資が加速される見込みです。
特に宇宙関連では、小型衛星の打ち上げやスペースデブリ(宇宙ゴミ)回収技術の開発が政策実証の対象となります。
これは経済安全保障の観点からも重要な投資と位置づけられています。
エネルギー分野では、核融合技術や次世代電池の開発に重点投資を行います。
また、通信インフラでは量子暗号通信の実用化や、光ファイバー網の強靭化が進められる予定です。
これらはいずれも、中長期的な日本の競争力強化につながる投資として重視されています。
GX(グリーントランスフォーメーション)分野では、水素製造技術の確立、送配電網の更新、災害対応型インフラの整備が注目されています。
政府は「2030年度に135兆円、2040年度に200兆円」という投資目標を掲げており、官民一体となって国内投資を加速する計画です。
中小企業・医療介護への緊急支援策
高市新総裁は、現場で苦しむ中小企業や医療介護施設への即時支援を最重要課題の一つとしています。
これは「現場主義」を掲げる高市氏の政治姿勢を反映したものです。
赤字企業への賃上げ支援
現行の賃上げ促進税制は税額控除の仕組みであるため、赤字法人には恩恵がありません。
高市氏はこの問題を認識し、赤字企業にも賃上げができるよう助成金などの直接支援策を導入する方針を示しています。
これにより、黒字企業だけでなく、経営が厳しい中小企業も従業員の賃上げに取り組みやすくなります。
ただし、この政策には「ゾンビ企業を延命させるだけではないか」という批判もあります。
赤字企業への支援は、本来淘汰されるべき非効率な企業を温存し、経済全体の生産性を低下させる可能性があるためです。
政策設計においては、一時的な困難に直面している企業と構造的に競争力を失った企業を見極める仕組みが必要となります。
診療報酬・介護報酬の前倒し改定
高市氏は、病院の約7割が深刻な赤字であり、介護施設の倒産が過去最高水準にあることを強く懸念しています。
通常、医療の診療報酬改定は2026年度、介護報酬改定は2027年度に予定されていますが、高市氏はこれらを待たずに補正予算で対応する方針を示しています。
具体的には、診療報酬の引き上げと介護報酬の期中改定を実施し、医療・介護現場の経営改善を図ります。
これにより、医療従事者や介護職員の賃金改善も期待されます。
ただし、専門家からは「診療報酬引き上げだけでは根本的な解決にならず、社会保障制度改革が必要」との指摘もあります。
税制改革の中長期ビジョン
高市新総裁は、即効性のある物価高対策に加えて、中長期的な税制改革にも取り組む姿勢を示しています。
ただし、これらの多くは構想段階であり、具体的な実施時期や制度設計は今後の検討課題となっています。
給付付き税額控除は、単なる一時的な支援策ではなく、所得再分配機能を強化する恒久的な制度として設計される見込みです。
これは欧米諸国で既に導入されている制度であり、低所得層の可処分所得を増やし、消費を刺激する効果が期待されています。
制度設計においては、給付の対象範囲、控除額の設定、不正受給の防止など、多くの課題を解決する必要があります。
基礎控除の引き上げも検討されています。
現在の基礎控除は48万円ですが、これを引き上げることで中間層の税負担を軽減し、可処分所得を増やす効果が見込まれます。
ただし、これも財源の確保が課題となっており、実現時期は不透明です。
消費税については、高市氏は「選択肢として放棄するものではない」と述べていますが、現時点で減税を明言しているわけではありません。
経済状況によっては検討の余地を残しているという段階です。