2025年10月、自民党総裁に選出された高市早苗。
その背後には、元夫で現在の夫でもある山本拓氏がいます。
「一度別れた相手と復縁」
これが一般夫婦なら美談ですが、政治家夫婦となると話は別。
派閥の力学、政策の対立、そして世間の目。
すべてが絡み合う中での「愛の復活劇」だったのです。
高市・山本夫妻の物語は、現代日本の結婚観を映す鏡。
政治と私生活、理想と現実の狭間で揺れ動く二人の軌跡を追ってみましょう。

出会いから結婚まで:清和会が結んだ縁
落選がきっかけの「交際0日婚」
2003年、衆院選で議席を失った高市早苗。
その時、励ましの電話をかけてきたのが山本拓でした。
「落選の辛さは僕も分かる。力になれることがあれば」
この言葉が、二人の運命を変えます。
2004年6月、山本氏から突然のプロポーズ電話:
「真剣に結婚相手を探しているなら、僕も立候補しますよ」
交際期間0日での求婚。
高市氏も驚いたでしょうが、一週間後には「YES」の返事。
「政治は理屈、恋は直感」を地でいく展開でした。
政界注目の結婚式
2004年9月の結婚披露宴には小泉純一郎首相、森喜朗元首相が出席。
清和会(森派)内の結束強化という側面もあったとされます。
当時「政界のおしどり夫婦」と呼ばれた二人。
しかし政治家同士の結婚には、一般夫婦にない複雑さが潜んでいました。
離婚まで:政治が引き裂いた13年
政策の違いが家庭に侵入
2012年の自民党総裁選。
高市は安倍晋三支持、山本は石破茂支持。
夫婦でありながら、政治的には敵同士に。
高市氏は後にこう振り返ります:
「携帯を見られないよう、お風呂場まで持っていった。夫婦でほとんど会話もできなかった」
政治家夫婦の宿命でしょうか。
仕事と私生活の境界線が曖昧になり、家庭内も「政治戦場」と化したのです。
2017年7月19日の離婚発表
「政治的スタンスの違いが大きい」。
これが公式離婚理由でした。
興味深いのは発表のタイミング。
安倍内閣の改造直前という、政治的に重要な時期と重なっています。
永田町では「私生活の整理」という見方もありました。
ただし、離婚は決して「仲違い」ではなかった。
山本氏は後にこう語っています:
「ケンカして別れたわけじゃない。別れても円満」
再婚への道:政治より強かった愛
2021年総裁選での「元妻支援」
2021年の自民党総裁選。
女性初の総理候補となった高市早苗を、元夫の山本拓が全面支援。
「彼女の性格は真面目で、勉強家で、ブレない」
「表裏のない女性総理になれる」
元夫からの推薦状のような言葉に、永田町もざわつきました。
「政治的計算」を超えた、人間としての信頼が見えた瞬間でした。
山本氏落選と再婚のタイミング
2021年10月31日、衆院選で山本氏が落選。
その2ヶ月後の11月末、二人は再婚。
政治家としてのしがらみから解放された山本氏。
「政治的スタンスの違い」という離婚理由も、自然に消えたのでしょう。
表:高市・山本夫妻の歩み
| 年月 | 出来事 | 高市氏の立場 | 山本氏の立場 |
|---|---|---|---|
| 2003年11月 | 高市氏落選 | 浪人中 | 現職議員 |
| 2004年6月 | 交際0日プロポーズ | – | – |
| 2004年9月 | 結婚(山本早苗に) | 政界復帰準備 | 現職議員 |
| 2017年7月 | 離婚発表 | 総務大臣 | 現職議員 |
| 2021年9月 | 総裁選で山本氏が支援 | 総裁候補 | 支援者 |
| 2021年10月 | 山本氏落選 | 政調会長 | 浪人 |
| 2021年11月 | 再婚(高市拓に) | 政調会長 | 元議員 |
| 2025年10月 | 高市氏総裁選出 | 自民党総裁 | ファーストジェントルマン |
「高市姓」選択の政治的意味
夫婦別姓反対論者の矛盾?
再婚時、山本氏が「高市姓」を選択。
選択的夫婦別姓に反対してきた高市氏の選択として、注目を集めました。
週刊文春の報道で「高市拓」と改姓したことが判明。
「政治の看板」である高市ブランドを夫婦で共有する形に。
知名度と政治力の継承
一般的には妻が夫の姓を選ぶケースが多い中、逆のパターン。
高市氏の政治的知名度、影響力の大きさを物語っています。
これは単なる姓の選択ではなく、現代日本の「パワーバランス」を象徴する出来事でもありました。
なおじの視点:愛と政治の川柳コーナー
政治の世界を眺めていると、時々ふっと笑いたくなる瞬間があります。
高市・山本夫妻の物語も、そんな人間ドラマの一つ。
川柳で表現すると:
- 離れても 票は寄り添う 再婚日
- 夫婦なのか 派閥なのかと 聞かれる秋
- 苗字より 政治の看板 重たそう
特に「離れても 票は寄り添う 再婚日」は、政治家夫婦の本質を突いているかもしれません。
愛だけでなく、政治的信念も共有する関係。それが現代の「政治婚」なのでしょう。
政治家夫婦の新しい形:独立型パートナーシップ
従来の「戦略型」から「独立型」へ
現代の政治家夫婦は大きく3つのタイプに分類できます:
- 戦略型:政治的目的での結婚
- 互助型:政治活動を支え合う関係
- 独立型:それぞれが自立したパートナーシップ
高市・山本夫妻は「戦略型」から始まり、離婚を経て「独立型」へ変化。
この変化こそが、現代日本の夫婦観の変遷を表しているのです。
「ファーストジェントルマン」の誕生
高市氏の総裁選出で、山本氏は日本初の「ファーストジェントルマン」候補に。
従来の「夫が前面、妻が支える」構図の逆転です。
読者への問いかけ:プライバシーと知る権利
政治家の私生活をどこまで知るべきか。
これは現代社会の重要な課題です。
高市・山本夫妻の結婚生活は私事である一方、政治家としての信条や価値観を理解する材料でもあります。
選択的夫婦別姓、家族のあり方、男女平等。
彼らの選択は、こうした社会問題と直結しているのです。
「政治家も一人の人間」と「有権者の知る権利」。
このバランスをどう取るかは、私たち一人一人が考えるべき問題なのかもしれません。
おわりに:政治と愛、その複雑な交差点
政治は掲げる旗の数だけ意見がある。
しかし結婚は、たった二人の合意で成り立つもの。
高市・山本夫妻の再婚は、その矛盾を美しく見せた稀有な例です。
人は立場を超えて、もう一度「共に歩もう」と思える。
それが政治的利害を超えた、人間としての絆なのでしょう。
2025年現在、高市氏は自民党総裁として新たな挑戦を始めています。
その背後で支える山本氏の存在は、政治家の人間性を象徴する一つの答えかもしれません。
愛は政治より複雑で、政治は愛より冷酷。
でも時には、愛が政治を溶かすこともある。
それが高市・山本夫妻が教えてくれた、現代日本の一つの真実なのです。
