こんにちは、なおじです。
中国とロシアの戦略爆撃機が「東京方面」に向かって飛んだ――この事実を、あなたはどう受け止めますか?
2025年12月9日、中露両軍の爆撃機が沖縄本島と宮古島の間を抜け、太平洋に出た後、東京方面を指向する異例のルートで共同飛行しました。
中国機は核巡航ミサイル搭載可能な改良型戦略爆撃機であり、単なる通過ではなく「日本の首都圏を射程に収めている」という明確なメッセージです。
この記事では、中露爆撃機の共同飛行が持つ軍事的・政治的意味と、日米がどう対応したかを、元社会科教師の視点で整理していきます。

この記事でわかること
- 中露戦略爆撃機が「東京ルート」を飛んだ事実とその異例性
- 中国H6K爆撃機の能力と核巡航ミサイルCJ20の脅威
- 中露共同飛行が示す日本への軍事的メッセージの本質
- 高市政権への牽制と台湾有事答弁との関連性
- 日米共同訓練が示した抑止力の構造とB52戦略爆撃機の役割
- 「専守防衛」と抑止力をめぐる国民世論の変化
- 日本がエネルギー・防衛両面で直面する構造的課題
- 「前線としての日本」という現実をどう受け止めるべきか
中露爆撃機「東京ルート」の異例性とは
2025年12月9日、中国のH6K戦略爆撃機2機とロシアのTu95爆撃機2機が、護衛の戦闘機とともに共同飛行を実施しました。
沖縄本島と宮古島の間を抜けた後、北東に進路を変更し、日本列島に沿って四国沖まで進んだ後に引き返したのです。
この飛行ルートの延長線上には、東京のほか、海上自衛隊横須賀基地、米海軍横須賀基地が位置していました。
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過去の飛行パターンとの違い
中国軍機は過去、沖縄本島・宮古島間を抜けた後、米軍の重要拠点グアム方面へ向かうケースが多く見られました。
しかし今回は「東京方向」を強く意識した飛行であり、自衛隊幹部は「東京を爆撃できると誇示する狙いがあった」と分析しています。
中国軍機が東京に向かうルートをとったのは2017年以来ですが、中露両軍機が同時に向かうことが確認されたのは今回が初めてです。
レーダー照射事件との関連
この飛行ルートは、12月6日に自衛隊機へのレーダー照射を行った中国空母「遼寧」の航行ルートとも重なるのです。
レーダー照射から3日後の戦略爆撃機飛行――この連続性は偶然ではなく、計画的な示威行動と位置づけられます。
日本周辺での中露の一体的な軍事プレゼンス誇示が、段階的にエスカレートしている構図が浮かび上がります。
中国H6K爆撃機の能力と核巡航ミサイルの脅威

今回飛行した中国の「H6K」は、H6爆撃機の改良型であり、核兵器搭載能力を持つ戦略爆撃機です。
射程1500キロメートル以上とされる空対地巡航ミサイル「CJ20」を発射可能とされており、核弾頭の装着も可能です。
この能力により、日本列島全域が射程に入ると同時に、米軍の後方拠点も攻撃対象となりうる状況が生まれています。
「東京を爆撃できる」というメッセージ
東京方面をかすめるように日本列島沿いを飛び、四国沖で反転するルートは、軍事的には「射程内にある」ことを示すデモンストレーションです。
これは単なる訓練ではなく、日本を直接の想定目標とし、その後ろ盾である米軍基地も含めて「攻撃可能だ」と見せつける政治的・軍事的メッセージです。
自衛隊幹部の分析は、決して大げさなものではなく、むしろ冷静な現実認識と言えます。
高市政権への牽制と中露連携の背景

報道では、高市早苗首相の台湾有事に関する国会答弁への反発が、今回の示威行動の一因となった可能性が指摘されています。
しかし、中露による日本周辺での威嚇的な飛行や活動は高市政権以前から繰り返されてきました。
問題は、歴代政権が「遺憾」「注視する」といった表現にとどまり、実効性ある対抗措置や防衛力整備を後回しにしてきた結果、こうした行為が「日常景色」になりつつあることです。
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中露の戦略的協調
中露爆撃機の共同飛行は、日本海や東シナ海だけではなく、太平洋側を含めた広範囲での圧力を示しています。
「米軍の後方拠点を含めて日本全土が潜在的なターゲットになりうる」という冷徹な現実を、両国は連携して突きつけているのです。
この戦略的協調は、ウクライナ情勢以降の中露接近を背景に、より強固になっていると整理できます。