MENU

レーダー照射と国際法のグレーゾーンを読む|C国の論点すり替えと情報戦を元社会科教師が整理

こんにちは、なおじです。
C国軍機による自衛隊機へのレーダー照射をめぐり、問題が深刻化しています。

国際法ではどこまでが許されるのか」。
「これは戦争一歩手前なのか」。
そうした不安と疑問が、一気に噴き出している状態です。

レーダー照射そのものの危険性だけでなく。
事前通報や台湾発言まで巻き込んだC国側の主張があります。

これは、典型的なグレーゾーン事態と情報戦の構図と整理できます。

そこで、この記事ではレーダー照射の国際法上の位置づけとグレーゾーンの怖さを取り上げます。
あわせて、論点すり替えのパターンを、元社会科教師の視点で整理していきます。

レーダー照射 日本機 危険

この記事でわかること

  • レーダー照射のうち火器管制レーダーが、なぜ模擬攻撃と見なされるのか。
  • 2013年・2018年・2025年のレーダー照射事案が示す「グレーゾーン」の怖さ。
  • 国際法上、「武力攻撃」と「危険な挑発行為」の線引きがどう整理されているのか。
  • C国外務省の発言に見える「論点すり替え」「フレーミング」の典型パターン。
  • 事前通報の有無とレーダー照射の是非が、別次元の論点である理由。
  • 「日米とC国の軍事力4対1」という言い方が、なぜ危うい単純化なのか。
  • 台湾発言をレーダー照射の議論に結びつけるロジックの問題点。
  • SNS空間で、感情的な言葉より「論点の地図」を持つことが重要な理由。
  • 授業や市民の議論で、今回の事案をどう「使う」と理解が深まるのか。

👉関連記事:「日本の政治」語り/社会科関連徒然語り

スポンサーリンク
目次

レーダー照射と国際法|火器管制レーダーの意味

レーダー照射と火器管制レーダーの違い

まず、レーダー照射という言葉の中身を分けて考えます。
たとえば、広い範囲を監視する「捜索レーダー」と、特定の目標に狙いを定める「火器管制レーダー」です。

捜索レーダーは、懐中電灯を回して辺りを照らすようなイメージです。
一方で火器管制レーダーは、銃口を相手に向けて照準器をじっと覗き込む行為に近いと整理できます。

そのため、多くの国の軍隊は、火器管制レーダー照射を「いつでも撃てる状態を示すシグナル」と受け取ります。
実弾を撃っていなくても、模擬攻撃に近い意味を持つのです。

👉関連記事:「一線を越えた」中国軍機によるレーダー照射とは何か 2013年・2018年との違いと今後を読み解く

レーダー照射と国際法のグレーゾーン

では、国際法はレーダー照射をどう位置づけているのでしょうか。
ここで重要なのが、「武力攻撃」と「危険な挑発行為」の線引きです。

国連憲章が想定する武力攻撃は、実際の攻撃や深刻な被害を伴う行為が中心です。
したがって、火器管制レーダー照射だけでは、直ちに武力攻撃とは認定されないと整理できます。

しかし、だからといって軽い行為とは言えません。
火器管制レーダー照射は、不測の衝突を誘発しやすい「グレーゾーン事態」の代表例です。

【表:レーダー照射をめぐる基本構造】

項目内容日本側のリスク日本側の対応の軸
捜索レーダー周囲を広く監視するレーダー通常の警戒レベル監視と情報共有
火器管制レーダー特定目標に照準し射撃を補助模擬攻撃と受け取られ偶発衝突の危険強い抗議と再発防止要求
グレーゾーン事態戦争でも平和でもない挑発行為エスカレーションの階段を一段上がる抑止と対話のバランス調整

この表は、授業で黒板に書くイメージに近い整理です。
どこからが「赤信号」なのか、段階を分けて考える狙いがあります。

👉関連記事:薛剣総領事『首を斬る』発言は外交問題か|戦狼外交の実態を元教師が解説

レーダー照射とグレーゾーン事態|2013・2018・2025年

レーダー照射の過去事例とグレーゾーン

ここで、2013年と2018年のレーダー照射事案を振り返ります。
2013年は、C国海軍艦艇が海自護衛艦に火器管制レーダーを照射したと日本が公表した事案です。

2018年は、韓国海軍艦艇と海自P−1哨戒機の間で起きた照射問題です。
このときは、照射の有無や低空飛行の有無をめぐって、日韓の主張が真っ向からぶつかりました。

どちらのケースでも、日本政府は「極めて危険な行為」として強く抗議しました。
しかし、武力による報復ではなく、外交ルートでの抗議と事実の公表にとどめています。

ここから、「一線を越えた」と感じつつも、全面衝突を避けるという難しいバランスが見えてきます。
まさにグレーゾーン事態の扱い方の教科書的な例です。

👉関連記事:高市早苗首相とトランプ大統領の初会談を徹底解説!日米新黄金時代の幕開けと合意

2025年のレーダー照射が示す新たな一線

では、2025年の事案は何が違うのでしょうか。
一つは、空母から発進したJ−15戦闘機が、空自F−15戦闘機にレーダー照射を行った「空対空」のケースである点です。

艦対艦や艦対哨戒機に比べて、空対空は双方が高速で機動します。
そのため、一瞬の判断ミスが、実弾発射に直結しやすい特徴があります。

さらに、今回は台湾有事発言などで日中関係が悪化している中で起きました。
こうした背景が重なることで、多くの人が「2013年や2018年より一段危険だ」と感じるのは自然な流れです。

この意味で、2025年のレーダー照射は、グレーゾーンの階段をもう一段上がった事案と位置づけられます。

👉関連記事:「中国軍機のレーダー照射と『自衛隊機が妨害』発言 過去のレーダー照射事件から見えるリスクとは」

1 2
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次