こんにちは、なおじです。
「補正予算13兆円が成立」というニュースを見て、すぐに内容を理解できる方はどれくらいいるでしょうか。
実は、多くの国民が「補正予算って何?」「本予算とどう違うの?」という疑問を抱えたまま、ニュースを聞き流しているのが現実では…。
なおじが35年間教師をしていたとき、生徒たちに最も質問されたのがこの「補正予算の仕組み」でした。
本記事では、元社会科教師としての経験を活かし、補正予算の仕組みを中学生でも理解できるレベルでわかりやすく解説します。

この記事でわかること
- 補正予算と本予算の3つの違い(成立時期・回数・金額規模)
- 補正予算が作られる3つの理由(災害対応・経済対策・政策追加)
- 補正予算が成立するまでの5ステップと所要期間
- 令和6年度13.9兆円の使い道と中小企業支援の内容
- 補正予算の財源(税収と国債の割合)
補正予算とは?本予算との3つの違い
補正予算とは、年度途中で本予算(当初予算)に不足が生じたり、新たな支出が必要になったりした場合に編成される追加予算のことです。
災害対策や物価高対策など、予算作成時には想定できなかった事態に対応するために作られます。
令和6年度(2024年度)は12月17日に13.9兆円の補正予算が成立し、補正後の予算総額は126兆円を超えました。
本予算との主な違いは3つあります。
なおじが教室で生徒に説明するときは、「本予算は一年間の計画、補正予算は途中で起きた問題への対応」と例えていました。
まず第一の違いは成立時期です。
本予算は毎年4月に成立しますが、補正予算は必要に応じて随時成立します。
多くの年では12月や翌年1月に成立する傾向があります。
次に第二の違いは回数です。
本予算は年に1回だけですが、補正予算は年に複数回編成されることもあります。
令和2年度(2020年度)は新型コロナ対策で第3次補正予算まで編成されました。
最後に第三の違いは金額規模です。
本予算はおおむね100兆円台ですが、補正予算は数兆円から数十兆円と年度によって大きく変動します。
【表題:本予算と補正予算の主な違い】
| 項目 | 本予算(当初予算) | 補正予算 |
|---|---|---|
| 成立時期 | 毎年4月(通常国会) | 随時(臨時国会) |
| 回数 | 年1回 | 年に複数回も可能 |
| 金額規模 | 100兆円~110兆円台 | 数兆円~数十兆円 |
| 審議期間 | 約3か月 | 2~3週間 |
| 目的 | 年間の基本的な予算 | 緊急対応・追加支出 |
| 財源 | 税収中心 | 国債の割合が高い |
補正予算が作られる3つの理由

補正予算はどのような場合に作成されるのでしょうか。補正予算は主に3つの理由で作成されます。
第一に災害対応です。
地震や台風などの自然災害が発生した場合、復旧・復興のために迅速な予算措置が必要になります。
平成30年度(2018年度)は西日本豪雨などの災害対応で補正予算が編成されました。
第二に経済対策です。
景気悪化や物価高騰など、経済状況が急変した際に補正予算で対応します。
令和6年度の補正予算では、物価高の克服に3.3兆円が計上されました。
第三に政策的な追加支出です。
新たな政策課題が浮上した場合や、既存政策を強化する必要が生じた場合に補正予算が活用されます。
なおじが教室で生徒に説明するとき、よくこんな例え話をしていました。
「みんなの家でも、年の初めに『今年は〇〇円使う』って計画を立てるよね?
でも、夏に台風が来て屋根が壊れたら、急にお金が必要になる。それが補正予算だよ」
この説明をすると、生徒たちは「あー!」と納得してくれたものです。
年度当初には予想できなかった出費に対応するための仕組み、それが補正予算なのです。
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補正予算の成立プロセスを5ステップで解説

補正予算はどのようなプロセスで成立するのでしょうか。
補正予算がどのように成立するのか、5つのステップで見ていきましょう。
ステップ1:補正予算案の作成
各府省庁が必要な予算を財務省に要求し、政府と各政党で調整しながら補正予算案が作成されます。
ステップ2:閣議決定
内閣総理大臣と国務大臣が出席する閣議で補正予算案が決定されます。
令和6年度は11月29日に閣議決定されました。
ステップ3:国会への提出
閣議決定された補正予算案が臨時国会に提出されます。
本予算と違い、緊急性が高いため審議期間は数週間と短いのが特徴です。
ステップ4:国会審議
衆議院と参議院で審議が行われます。政府案は事前に各政党と調整されているため、多くの場合そのまま可決されます。
ステップ5:成立・執行
両院の可決により補正予算が成立し、執行が始まります。
令和6年度は12月17日に成立しました。
本予算が約3か月かけて審議されるのに対し、補正予算は2~3週間で成立するスピード感が大きな違いです。
【表題:令和6年度補正予算の成立スケジュール】
| 日付 | ステップ | 内容 |
|---|---|---|
| 11月28日 | ステップ1 | 臨時国会招集 |
| 11月29日 | ステップ2 | 補正予算案閣議決定 |
| 12月9日 | ステップ3 | 国会提出・審議開始 |
| 12月9日~17日 | ステップ4 | 衆参両院で審議 |
| 12月17日 | ステップ5 | 補正予算成立(13.9兆円) |
所要期間:閣議決定から成立まで わずか18日間
なおじの分析では、このスピード審議こそが補正予算の最大の特徴です。
本予算が3か月かけて慎重に審議されるのに対し、補正予算は緊急性を理由に2~3週間で成立します。
ただし、このスピード審議が「十分な議論がなされているのか」という批判を生んでいる側面もあります。
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補正予算に関するQ&A

Q1:補正予算の財源はどこから来るの?
補正予算の主な財源は税収と国債です。
特に補正予算は国債の割合が高く、多くの年度で補正予算額の半分以上が国債発行で賄われています。
令和6年度は13.9兆円のうち6.6兆円が国債です。
「借金で賄うのは問題では?」という疑問は当然です。
政府は経済成長によって税収を増やし、相対的に借金の負担を減らす「債務対GDP比の引き下げ」を目指しています。
ただし、これが本当に実現可能なのかは、今後の経済成長次第という側面はあります。
Q2:令和6年度の補正予算は何に使われる?
2024年度補正予算13.9兆円の使い道は主に3つでした。
第一に「日本経済・地方経済の成長」に5.7兆円。
賃上げ環境の整備や中小企業の設備投資支援が含まれます。
第二に「物価高の克服」に3.3兆円。
電気・ガス料金の補助や住民税非課税世帯への給付金が対象です。
第三に「国民の安心・安全の確保」に4.7兆円。
被災地の復興・復旧対策が中心です。
【表題:令和6年度補正予算13.9兆円の内訳】
| 分野 | 金額 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 日本経済・地方経済の成長 | 5.7兆円 | 賃上げ環境整備、中小企業設備投資支援 |
| 物価高の克服 | 3.3兆円 | 電気・ガス料金補助、給付金 |
| 国民の安心・安全の確保 | 4.7兆円 | 被災地復興・復旧対策 |
| その他 | 0.2兆円 | 予備費等 |
| 合計 | 13.9兆円 | – |
Q3:補正予算と中小企業支援の関係は?
補正予算は中小企業にとって重要な補助金の財源になります。
補助金は前年度の補正予算を財源として翌年度に公募されるのが一般的です。
「令和6年度補正」という名称がついている補助金は、令和6年度の補正予算から執行されまています。
生産性革命推進事業(ものづくり補助金、IT導入補助金など)には3,400億円、大規模成長投資補助金には1,400億円が計上され、中小企業の成長を後押しします。
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**なおじ:**
元社会科教師(35年間)。政治・経済の複雑な制度を初心者向けにわかりやすく解説することを得意とする。
キャンピングカーでの旅と川柳が趣味。
読者に「なるほど!」と思ってもらえる記事作りを心がけている。
